1986年か87年に、ヒダヤットの友人、シンガポールのマイケルの事務所にもパソコンが入った。OSがMS-DOS、表計算Lotus-123とワープロソフトWordStarが付属しているIBM製だ。最近まで使っていたタイプライターは横に置かれ、ユニスがパソコンで文書を作っている。作業効率は圧倒的に良くなったように見える。タイプミスしても大騒ぎせず、カーソルを戻して打ち直せば良い。
そのパソコンがどんなものか、少しいじらせてもらった。PC-9801と違い、ベーシックはROMにはいっておらず、フロッピーディスクに記録されたOS付属の1アプリケーションだ。ベーシックのコマンドはだいたい共通のようだが一部がNECと異なっている。またOSに、Masmが無料で付属している。これは、雑誌で読んだばかりだったが、機械語アセンブラーだ。いちいちコード表とにらめっこせず、コマンドをならべて機械語プログラムを作ることができる。すぐにでも欲しいと思ったが、NECパソコンが対応するのに1年くらいかかったと思う。
インドネシアのヒダヤットやクリスマンのところにもIBMパソコンが導入されたので、Masmを触る機会は思ったより早くやってきた。クリスマンから頼まれ、データ計算プログラムを作成した。やはり画面表示がモッチャリしているので、その部分をアセンブラーで書いてコンパイルした。コード表とにらめっこするよりはましだったが、正直言って難しい。一日中マニュアルと格闘していた気がする。